「高学歴が自慢の義兄は、人に対する評価も学歴のみ。そんな義兄にとって、義父母の中でも良好な私の存在が邪魔らしく、ことあるごとに嫌みを言ってくるの。結婚してからも、それは続いた。『あなた考察なの?受けると何かにつけ嫌みを言ってくるんだよね』って言われた日もあった。毎回傷つきながら、エ太が隣にいてくれるから耐えられた。でも、ある日のこと。エ太のスマホに映った義兄のメッセージを見て、私は息を止めた…

「高学歴が自慢の義兄は、人に対する評価も学歴のみ。そんな義兄にとって、義父母の中でも良好な私の存在が邪魔らしく、ことあるごとに嫌みを言ってくるの。結婚してからも、それは続いた。『あなた考察なの?受けると何かにつけ嫌みを言ってくるんだよね』って言われた日もあった。毎回傷つきながら、エ太が隣にいてくれるから耐えられた。でも、ある日のこと。エ太のスマホに映った義兄のメッセージを見て、私は息を止めた...

「え、嘘。あなた考察なの?受けると何かにつけ嫌みを言ってくるんだよね。」

私の名前は三島かず。30歳。同い年のエ太と結婚して1年になる。エ太と出会ったきっかけは、私の唯一の趣味である海外旅行で、同じゲストハウスに宿泊していたことだった。これまで旅してきた国の話や出会った人たちのことを話すうちに、同い年ということもあって意気投合したのだ。

「よくあるセリフでちょっと恥ずかしいけど、こんなに気が合う人ってそんなに巡り合えないと思うし……よかったら付き合ってくれないかな。」

エ太からの告白で交際が始まった私たち。日本に帰国してからは遠距離になったものの、交際は順調で、出会って1年後には結婚する運びになった。そこで問題になったのが結婚後の住まいのことだったのだが、エ太よりも私の仕事の方が融通が利くこともあり、結婚後は私がエ太の地元に移り住むことになった。

私の仕事は在宅での作業が基本なので、パソコンとネット環境さえ整えればどこに住んでも構わない。長期の海外旅行の際は滞在先で仕事をするバケーションスタイルを選択したこともあるくらいだ。ただ、私はずっと実家に住んでいて、1人暮らしをしたことがない。

そのため友人や知人からは、エ太以外に親しい知り合いもいなければ馴染みもない関西での暮らしを随分と心配された。しかし交際期間中に何度か会う機会のあったエ太のご両親は、親しみやすい人柄ながら適度な距離感を保てる、とてもいい人たちだった。だから肝心の私自身は「どうにかなるだろう」と思ったのだ。

実際、エ太との結婚生活は、交際中にも増して私には嬉しいことの連続だった。

「今日は早く帰れそうだから、夕食は俺が作るよ。」

「え、いいの?」

私に負けず劣らず美味しいもの好きのエ太は、私の仕事が忙しそうだったり疲れているのを見て取ると、さりげなく食事の担当を変わってくれる。そんなエ太の優しさに、私は毎日のように感謝していた。

そんなある日、エ太の実家で義母と話しているときのこと。義母は何気なく、エ太の兄である義兄の話題を出した。

「お兄さん、また仕事で評価されたんだって。やっぱり頭がいいっていうのは違うわね。」

義母は誇らしげに言った。義兄は有名大学を出ていて、いわゆる高学歴エリート。義母はそんな義兄のことを何よりも自慢に思っているようだった。あるいは、義兄自身がそうなのか。義兄は人に対する評価も学歴のみ。そんな義兄にとって、義父母の中でも良好な私の存在が邪魔らしい。

「え、あなた考察なの?受けると何かにつけ嫌みを言ってくるんだよね。」

義兄は私の学歴を知ると、ことあるごとに嫌なことを言ってくるようになった。私が有名大学出身ではないことを引き合いに出しては、皮肉や嫌みを言う。最初のうちは気にしないようにしていたけれど、それが続くうちに、義兄の存在が少しずつ私を苦しめていった。

結婚してからも、義兄は私に嫌みを言い続けた。それは家族の集まりのたびに繰り返され、私はそのたびに居心地の悪い思いをしていた。エ太はそんな私をいつも気遣ってくれて、「気にしなくていいよ。あの人の言葉は聞き流すのが一番だ」と慰めてくれた。

そんな毎日だったけれど、私はエ太との生活を大切に思っていた。エ太と一緒にいれば、義兄の嫌みなんて吹き飛んでしまう。私はエ太と笑い合える時間を何よりも大事にしていた。

ある週末、エ太と二人で買い物に出かけたときのこと。私は義兄から言われた言葉が悲しくて、ついエ太にこぼしてしまった。

「ねえ、義兄さん、私のこと嫌いなのかな。今日もあんなこと言われたよ。」

エ太は私の手を握りながら、優しく言った。

「あの人は誰に対してもああなんだ。気にしないで、かずは俺が守るから。」

その言葉に、私は心が救われた。エ太がいるから、私は頑張れる。私はそう思って、また明日から頑張ろう、と気持ちを切り替えた。

ところがある日、私はエ太のスマートフォンの画面に目を留めた。そこには、義兄からエ太へのメッセージが表示されていたのだ。

「お前の嫁、学歴ないのに偉そうだよな。」

その言葉を目にした瞬間、私の頭は真っ白になった。エ太は何と返信したのだろう。私は息を殺して、エ太の反応を待った。エ太はスマートフォンを手に取ると、すぐに何かを打ち始めた。

「でも、俺はかずが好きだから。」

そう返信したエ太。私はその言葉を読んで、涙が止まらなくなった。エ太はずっと私のことを守っていてくれたんだ。義兄の言葉に傷つくたび、エ太は気づかないふりをして、私を励ましてくれていたのかもしれない。

その日から、私は義兄の嫌みをそれほど気にしなくなった。それよりも、エ太が私を思ってくれる気持ちを大事にしたいと心から思った。

そんなある日、エ太の父の誕生日旅行を計画することになった。私はエ太と一緒に、義父の喜ぶ顔を想像しながら準備を進めた。

「ねえ、エ太。お義父さん、岐阜の温泉好きだっけ?」

「うん、そうだね。行き先は岐阜で決まりかな。」

私たちは何気ない会話をしながら、旅行の計画を立てた。義兄の顔を思い浮かべると少し気は重かったけれど、エ太と一緒にいれば大丈夫。そう思えた。

旅行当日、岐阜の温泉旅館で義父の誕生日を祝うことになった。義母もエ太も、義兄もいる。私は少し緊張しながらも、エ太が隣にいてくれることで安心していた。

「お義父さん、お誕生日おめでとうございます。」

義父は嬉しそうに笑ってくれた。義兄は相変わらず、何か嫌みを言おうとしているようだったけれど、私はもう気にしない。エ太が私のことを守ってくれている。その想いがあれば、何も怖くなかった。

旅行から帰ってきて、私たちはまた何気ない日常に戻った。エ太との生活は、何よりも大切で、かけがえのないもの。義兄の嫌みなんて、もう私の心を曇らせることはなかった。

「おかえり、かず。」

「ただいま、エ太。」

今日もエ太と一緒にいられる幸せを、私は噛みしめている。

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