義母が離婚届をテーブルに叩きつけたとき、彼女は私を「血管品」と呼んだ。「子供を産めない女は我が家に不要。出ていけ」と。7年間、私は妊活に必死だった。それなのに夫は何もせず、浮気までしていた。許したのは私なのに、すべての責任を押し付けられて、私は家を追い出された。あの時はもう二度と笑えないと思った。でも今、私は幸せな家庭を築いている。なのに、まさか3年後に彼らがまた私の前に現れるなんて——「そ…

義母が離婚届をテーブルに叩きつけたとき、彼女は私を「血管品」と呼んだ。「子供を産めない女は我が家に不要。出ていけ」と。7年間、私は妊活に必死だった。それなのに夫は何もせず、浮気までしていた。許したのは私なのに、すべての責任を押し付けられて、私は家を追い出された。あの時はもう二度と笑えないと思った。でも今、私は幸せな家庭を築いている。なのに、まさか3年後に彼らがまた私の前に現れるなんて——「そ...

義母が離婚届をテーブルに叩きつけたとき、私は何が起きたのか一瞬理解できなかった。
「話し合いをしましょう。いきなりこんなのを突きつけて終わりにできると思っているんですか?」
「あんたと話すことなんてもうないわ。これ以上私たちを苦しめるのはやめて」
「苦しめる? 私は7年も待ったのよ。あんたは一度も子供を産まなかった。こっちにも我慢の限界があるの。あんたはもう我が家に必要ない。出ていきなさい」
子供ができないのは事実だった。でもそれだけで、私は家から追い出されるのか。
「うちは代々続く本家なの。女の役割は子供を産むことよ。それさえしてくれれば何もしなくてもいいのに、あんたは肝心なものを産まなかった」
「子供ができないのは私だけのせいじゃありません。責任があるとしたら二人にあるはずです。啓介にも言ってください。どうして私だけが責められないといけないんですか?」
「子供を産めないのは女に原因があるに決まってるでしょ」
義母の思い込みは固かった。私は嫁として受け入れられたのではなく、ただ「子供を産む機械」として扱われていた。結局、生活費を返せと言われ、その日のうちに荷物をまとめて家を出ることになった。

啓介に話しても無駄だった。
「お母さんに離婚しろって言われたわ」
「俺だって子供は欲しいんだよ」
「だったら妊活に協力してよ。私は一人で産婦人科に通って頑張ってきた。あなたは何もしてないじゃない」
「妊娠できないのはお前のせいだろうが」
「夫婦で協力してやるものでしょ。それに、あなたは昔私が許したから結婚生活が続いてるのを忘れたの?」
啓介は顔色を変えた。彼は過去にマッチングアプリで知り合った女と浮気をしていた。私はそれを知りながら、彼の謝罪を受け入れて結婚を続けた。だが、彼はそれを蒸し返されるのが何より嫌だった。
「もういい。お前とは離婚だ。今すぐ出ていけ」
私は弁護士の島先輩に相談した。大学時代のサークルの先輩で、今は弁護士をしている。義母から追い出された経緯を話すと、先輩は「ひどい話だな」と眉をひそめた。
「慰謝料も取れるはずだぞ」
「もうあの人たちとは関わりたくないんです。夫への愛も完全に冷めました。慰謝料は結構です。とにかく早く離婚を成立させたいんです」
先輩は「それなら弁護士が入る必要はない」と言った。離婚届を出すだけでいいと。私は彼の助言に従い、その数日後には晴れて自由の身になった。そして、そのまま何となくだったが、離婚の手続きで何度もやり取りをした島先輩——高彦と距離が近くなっていった。彼は大学時代から私を知っている古い友人のような存在でもあった。

離婚から3年後、スーパーで買い物をしていると、背後から聞き覚えのある声がした。
「おい、あれはどういうつもりだ?」
振り返ると、啓介が立っていた。そして、彼の隣には新しい妻らしき女性もいた。私はベビーカーを押していた。生後間もない息子を連れて。
「連絡は極力しないって約束したでしょ。手続きのことだけって決めたのに」
「お前がおかしなことをしてるからだろうが。あの子供は何だ? お前に子供なんて産めるわけがない。誘拐でもしたんじゃないだろうな」
「馬鹿げてる。警察に通報されても困るのはそっちよ。これは私の子供よ。お腹を痛めて産んだ」
「嘘をつけ。俺たちが子供に恵まれなかったのはお前のせいなんだぞ」
「それは違う。私が再婚したのは常島さん——あなたの離婚を担当してくれた弁護士よ。で、子供が生まれたのは離婚してから2年後。どう考えてもあなたの子供じゃないわ」
啓介は信じなかった。いや、信じたくなかった。彼は「俺の子供の可能性もあるかもしれない」と執拗にDNA検査を求めてきた。あまりのしつこさに、私はその場を離れて家に帰った。だが、翌日には高彦が直接啓介の家を訪ねてくれた。

「申し訳ありませんが、子供は私たちのものです。疑う余地は一切ありません」
「客に手を出すようなやつが偉そうに」
「私は弁護士になる前から証子の知り合いでした。相談されたことがきっかけで距離が縮まっただけです。今は証子と息子の三人で幸せに暮らしています。どうか邪魔をしないでください」
啓介はなおも食い下がったが、高彦は淡々と事実を伝えた。
「あなたがDNA検査を求めているのは、当時のあなたが証子の努力を全部否定して家から追い出したからでしょう。もし子供を持ちたいなら、今度こそ妊活を頑張ったらどうですか。私たちに突きまとわないでください」

それから1ヶ月後、今度は私の元に啓介の母親から電話がかかってきた。
「あんた、なんてことをしてくれたのよ。こっちは大変なんだから」
「何がですか?」
「あんたが慰謝料を請求したせいで、経済的に大打撃を受けてるのよ」
「それはそちらの責任です。不倫なんてするからこんなことになるんです」
「あんたが子供を産まないから、啓介は他で作ろうとしただけよ。何が悪いの?」
「やっぱりお母さんは不倫を把握していたんですね。それならお願いです。文句を言わずに慰謝料を払ってください。そうしてくれたら、もうあなたたちに関わりませんから」
実は私は、離婚のときの高彦との会話の中で、夫の不倫の証拠を握っていた。そして、啓介が新しい妻と結婚したのも、その相手が浮気相手だと知った。調べてもらったのだ。彼女は友人や同僚に不倫の末に結婚したことを自慢げに話しているらしく、証拠はすぐに揃った。
「不定の事実を知ってから3年以内なら請求できる。私はまだ知ってから1ヶ月も経っていないから、余裕を持って訴えることができるってわけ」

啓介は慌てた。再婚時に結婚式を挙げて貯金をほとんど使い果たしていたらしい。
「ちょっと待ってくれよ。今は金がないんだ」
「私の時はそうじゃなかったの? あなたは簡単に私を追い出したでしょ。そんなのこっちには関係ないわ」
「お前、鬼かよ」
「よくそんなことが言えるわね。あなたが何をしたか忘れたの?」
その後、私は啓介の母親をブロックした。翌日、彼女は別の電話からかけてきて激怒していた。
「あんたのせいでうちは終わりよ」
「そんなに返してもらいたいなら、私と同じように弁護士にお願いしたらどうですか? でも、相手にされないと思いますけどね。それより、啓介は検査を受けたほうがいいですよ」
「検査?」
「不妊かどうかです。私たちは7年かけて子供を作れませんでした。でも、私には問題がなかった。そして、啓介は長い間不倫をしていた。どうやらそっちでも子供が作れなかったようですね」
「何が言いたいの?」
「もしかしたら、啓介は子供を作れない体なのかもしれません」
義母は沈黙した。その後、彼女は啓介を無理やり病院へ連れて行った。結果は、私の言葉どおりだった。原因は啓介にあった。

それから、すべてが崩れた。啓介は新しい妻からも捨てられた。義母は「血筋を絶やした出来損ない」と啓介を罵り、家から追い出した。親と妻、両方から縁を切られた啓介は、今は一人で寂しく暮らしているという。義母は自らが血統を絶やしてしまった喪失感から気が触れたようになり、今は一日中家で子供が遊んでいる動画を流し続けているそうだ。

私は今、高彦と息子と三人で暮らしている。慣れない子育てだが、高彦と協力して何とかやっている。子供が成長して手が離れたら、また仕事をしようと思う。私は法律の勉強を始めることに決めた。すぐに何かになれるわけではないけれど、いつか自分のように困っている人を支えられる人になりたい。それが今の私の目標だ。

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