「そのだるまみたいな体系で入るドレスがあるの?はい。来週は結婚式なのよ。妊婦だからってダサい服着て恥を欠かせないでね。」
えっと、1個ずつ処理しましょうか。まず誰がだるまですって。
「あんたしかいないでしょ。」
私は妊娠して月で60キロになりました。そういうお母さんの体重は…
「はあ。女性に体重聞くなんて失礼じゃない?」
では女性にだるまというのはありなんですか?
「いちいち口応えするんじゃない?」
お母さんが先月70キロ台の横を超えて必死にダイエットしてるのは知っています?
「誰に聞いたのよ?」
お父さんです。
「あのじ…」
次にダサい服についてですが、一応私も元アパレル店員ですし、復食の専門学校も出ているので、全身赤で数レーザーコーデをしちゃうようなお母さんの心配には及びません。
「赤なんて来てたかしら。」
話、顔合わせの日です。おめでたい日だから赤にしたんだった。何がダメなの?
「先日町で偶然あった時は全身青でした。一で縛ることを疑問に思っているだけです。」
遠回しに言わずはっきり言いなさいよ。
ダサいです。
「あんたって嫁はどうしてそう生意気なのよ。黙っていびられてればいいものを毎度毎度言い返してきて。」
今時嫁いびりなんて流行らないのでやめましょうって言ってるんです。
「嫁の教育をするのに流行もクソもないでしょう。」
私や夫が見ったら行きつくところは絶縁コースですよ。お母さんもそんなの嫌ですよね。
「あんたとは縁が切れても構わないけど息子は違うでしょう。」
そうきません。私たちは夫婦になりましたし、もうすぐ子供も生まれるんですから。
「孫は私が育てるわよ。私の娘が全身赤い服を着せられるのは困ります。」
え、娘?女の子なの?
「性別が分かった時に教えましたけど。そういうとこですよ。」
お母さん、何が?
「お母さんだって娘さんいるでしょ。お姑トさんに性別のことで色々言われたら嫌ですよね。私は最初に男の子を産んだし、娘は2番目だもの。」
そういうヘり屈もいい加減にしてください。
「ああ、うるさい。とにかくちゃんとしなさいって話よ。」
分かってます。予定日も3週間先ですし問題ありません。
「さっさとそう言えばいいのよ。」
1週間後。
「ごめん。今日の式出席できないかも。」
どうした?
「今式場に向かってたんだけど、なんかお腹痛くて痛かもしれない。」
え、予定日は2週間先だろ?
「そうなんだけど一応病院に電話したら念のため来てくれって。今日はりノちゃんの結婚式なのに。」
おさんが優先に決まってるだろう。俺もすぐに戻るから待ってて。
「いいよ。親戚の迎で空港にいるんでしょ?タクシーで移動してもらえばいい。はナが優先だよ。」
ありがとう。でも式には言ってあげて。たった1人の妹の結婚式なんだから。
「リノには悪いけどそれはできない。」
だめだよ。純平がいないとリノちゃん悲しむと思う。結婚式も今日しかないけど、はナのおさんも今日しかないんだぞ。
「そうだけど必ず立ち合うって約束しただろう。リノならきっと分かってくれる。」
うん。分かった。でも問題はお母さんね。
「そうだな。何を言うか想像はつく。今から運転でしょ。お母さんには私から連絡しておく。」
いや、俺が電話する。はナが嫌な思いするだけだから。
「確かに悪いけど。タクシーで先に病院へ行っててくれ。」
分かった。運転気をつけてね。
15分後。
「陣痛が始まったから娘の結婚式欠席するって。はい。すみません。リノちゃんにも後で謝っておきます。」
冗談じゃないわよ。なんで今日なの?嫌がらせ。
「私のさじ加減で同こなるものではありません。」
それに私だって今日という日を楽しみにしてたんです。
「巡平も出産に立ち合うって言うじゃない。」
断ったんですけどね。
「妹の式に兄が出ないなんて前代門よ。」
私1人で産みますから。純平にもそう伝えます。
「私もそう言ったんだけど、あの子言うこと聞かないの?」
その日の夜、病院の個室で陣痛の合間にお母さんからの着信が何十回も表示されていた。私は全部無視した。朝になると、お母さんは「祝電は送ったから」とだけLINEをよこしてきた。それに対して私はこう返した。「ありがとう。でも、もうお母さんの孫に会う必要はないと思う。私は私のやり方で家族を守るから。」
その1週間後、退院して自宅に戻ると、玄関に大きな段ボール箱が置いてあった。送り主はお母さん。開けると、中には真っ赤なベビー服と手紙が入っていた。「孫にはこれを着せなさい。私の選んだものよ。」手紙の最後にはこう書いてあった。「あなたが産む子は、私の娘が産む子よ。だから私が決めるのが当然でしょ。」
私はその手紙を読み終えると、箱ごとゴミ袋に入れて捨てた。そして夫に連絡した。「お母さんから届いたもの、全部捨てたよ。」夫は少し黙ってから「分かった。俺も電話しておく。」と言った。それから数日間、お母さんからの連絡は一切なかった。
そして2週間後、夫のスマホに着信があった。お母さんからだった。夫は通話ボタンを押した。スピーカーから聞こえてきたのは、いつもよりずっと低い声だった。「あの子、私の孫をどうするつもりなの?私に会わせる気はないの?」
夫は何も答えず、通話を切った。そして私を見て言った。「しばらく、距離を置こう。俺たちの家族を守るために。」
私は頷いた。生まれたばかりの娘を抱きしめながら、思った。この小さな命だけが、私の正義だって。お母さんの言葉も、夫の迷いも、もう私を揺るがせない。



