「お母さん、出産終わりました」——そう報告した翌日、義母が「初孫の顔を見せて」と迫ってきた。でも私の答えは「私が産んだ子です。私が誰に合わせるかは、私が決めます」。家の格が違う、お祝い事以外は関わらないで、孫は人質じゃない。義母は泣きそうな顔で「もういい。息子と話すから」と電話を切った。その夜、夫は震える声で言った。「美園の機嫌を損ねたら、どうしていいか分からないんだ」と。私はふと、夫が最近…

「お母さん、出産終わりました」——そう報告した翌日、義母が「初孫の顔を見せて」と迫ってきた。でも私の答えは「私が産んだ子です。私が誰に合わせるかは、私が決めます」。家の格が違う、お祝い事以外は関わらないで、孫は人質じゃない。義母は泣きそうな顔で「もういい。息子と話すから」と電話を切った。その夜、夫は震える声で言った。「美園の機嫌を損ねたら、どうしていいか分からないんだ」と。私はふと、夫が最近...

「お母さん、出産終わりました。1ヶ月前に」
「え? 予定日は来月じゃなかったの?」
「あれ? 私、そんなこと言いましたっけ? 息子からはそう聞いたけど、じゃあ太地が伝え間違えたんでしょうね。責めるなら記憶力のない我が子にお願いします」

「色々と言いたいことはあるけど、まずはおめでとう」
「ありがとうございます。うちの父にそっくりな可愛い男の子ですよ」
「予定通り里帰り出産したの?」
「はい」
「だったら、そんな遠くないし、少しお邪魔していいかしら? お祝いも渡したいし、赤ちゃんにも会いたいから」
「え、なんでですか?」
「いや、初孫だし、顔が見たいわ」
「でも、私が産んだ子ですよ」
「息子の子でもあるでしょ?」
「いやいやいや、私が産んだ子なんで、私が誰に合わせるかは自分で決めますから」
「どういう意味?」
「正直、うちとそちらでは家の格が違うと思うんです」
「はい?」
「うちは父も母も安定してますけど、そちらは母子家庭で貧しくしてらっしゃいますよね」
「そりゃ、夫を早くになくして女一人で息子を育ててきたけど、私も未だに働いてるし、特に困ってないんだけど」
「結婚ってそういうもんじゃないじゃないですか。実家同士の交流とかもありますし。正直に言って、周りくどいのは苦手なの」
「じゃあ言いますね。お祝い事以外は、今後関わらないできたいんです」
「なぜ?」
「私の父と母は子供に触れられても嫌悪感がないんですが、お母さんが抱っこするってなったら、なんか嫌なんです」
「私は孫に会う権利もないっていうの」
「娘を産んでおくべきでしたね」
「仕方ないじゃない。太地一人しかいないんだから。じゃあ、諦めましょっか」
「なんて人なの?」
「でも安心してください。さっきも言いましたけど、お祝い事はお呼びします。その代わり、私の両親に恥ずかしくない程度の金額でお願いしますね」
「な、何なのよ、それ」
「うちは孫のためならなんだってしてくれると思うんです。それに見劣りすれば、恥を描くのは太地さんですよ。嫁としてそんな惨めな姿は見たくないんです」
「それはあなたの主観でしょ」
「とにかく、そういうお付き合いってことで。今後とも、末永く少ない年金を孫に注いでくだされば、たまには顔くらい見せてあげますので」
「まるで孫を人質に交渉してるように見えるわ」
「それは誤解ですよ」
「もういい。息子と話すから」

数分後、息子からスクショが送られてきた。
「スクショ見てくれた?」
「うん。美園がごめん」
「あそこまで言われて、黙ってないといけないかしら」
「多分、三杯目みたいな感じになってると思うんだ」
「な、んなの、その言葉? 初めて聞いたわ」
「最近、ガルガルって言ってさ。産後の母親が他人に赤ちゃんを触られると花瓶になるらしい」
「ガルガルキー? 聞いたことないわね」
「こう、出産したメスの動物が威嚇する様子だよ」
「ああ、猫とかそういうの、確かにあるけど」
「自分の親はいいけど、義母はダメとか、そういうのを三杯目特有みたいだから、そのうち落ち着くと思う」
「でも、生まれたばかりの孫に会いたかった。最近じゃ、新築の家にも滅多に会うこともないし」
「そのことで喧嘩になったんだ。なんで俺の母親には合わせてやらないんだって怒ったら、離婚するってわめき出してさ」
「三杯目は情緒不安定になるものだけど、そんなに嫌だなんて」
「近いうちに連れて帰るから、少し待っててほしい」
「分かったわ」
「美園の機嫌を損ねたら、どうしていいか分からないんだよ」
「早速、尻に敷かれてるのね。情けな話だけど」
「動きを荒げただけで警察呼ばれたことがあってさ」
「そうなの?」
「仕事に影響したらと思うと、怖くなって」
「お嫁さんが強い方が夫婦はうまくいくとは言うけど、ちょっと限度を超えてる感じね」
「うん。こんなことになるとは思ってなかったよ」
「落ち着いた頃に合わせてくれたらいいわ」
「ありがとう」

「で、相談なんだけどさ」
「何?」
「ちょっと生活が苦しくて、助けて欲しいんだ」
「どうしてよ。ちゃんと働いてるでしょ?」
「……」

「赤ちゃんの写真くらい送ってくれる?」
「うん。後でこっそり送るね」
「なんでこっそりなの?」
「……」

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