結婚式当日の朝、健太は突然スマホを置いて、 lineru 調子で言った。
「悪いけど、やっぱり離婚してくれ。」
ひなは耳を疑った。「え、ちょっと、何言ってるの? 今日よ。今日が結婚式なのよ。」
「いや、考えたんだけどさ。結婚ってめんどくせえだろ。だったら早いほうがいいと思って。分かってくれ。」
「冗談でしょ? 招待客ももう来てくれてるのよ。」
「マジだって。本気で言ってる。」
「式まであと三時間しかないのよ。どうして今なの? 」
「だから今のうちに片付けたいんだよ。」
「片付けるって、私たちの結婚のことを?

」
「そう。今日、離婚届を出せば一番早いじゃん。」
ひなは必死に声を絞り出した。「ちょっと待って。ちゃんと説明してよ。いきなり離婚なんて言われて、納得できるわけないでしょ。何かあったの? 」
「実はな。色々考えたんだけど、俺たち合わないと思うんだ。このまま結婚生活を続けても、お互い不幸になるだけだし。」
「合わない? 今まで何も言わなかったのに、急にそんなこと言われても。どこがいつ合わないって思ったの? 」
「気づいてなかったのは、お前が鈍感だからだろう。」
「なんで今なのよ。」
「早めに決断したほうがいいと思って、今言ってるんだ。今日離婚届を出せば、早く終わるし、結婚してすぐなら失うものも少ないだろ。財産分与とか面倒だし。」
「失うもの?
式の準備に半年かけたのよ。もうすでにたくさんのものを失ってるって、分からない? 」
「まあ、そういう細かいことはいいじゃん。」
「細かいことですって? 何それ。本当に意味が分かんない。なんであなたの方から離婚なんて言われなくちゃいけないのよ。ふざけないで。」
「とにかくさ、俺は離婚届もう書いてあるから。お前もごねずに書いてくれ。」
「現実を見なさいよ。式場はどうするの? キャンセル費用もかかるわよ。」
「それは折半でいいじゃん。なんとかなるって。」
「招待客への連絡は?
お祝いをくれた人たちへの対応は? 」
「それも適当にやればいいって。」
「何よそれ。つまり、式場にいる私に丸投げして、あなたは何もせずに逃げるっていうの? 」
「平謝りでいいじゃん。お前が考えすぎなんだよ。」
「本当に何も分かってないのね。……分かった。いいわ。大丈夫。」
「本当に後悔しない? 」
「全然。むしろすっきりした。俺はもう決めたからさ。お前も早く決断してくれよ。」
「分かったわ。」
同時刻、ひなは親友のちひろに電話をかけた。「ちひろ、どうしよう。健太が急に離婚したいって。」
「え?
離婚? どういうこと? 結婚式、今日でしょ? 」
「式当日の朝に急に言われたの。もう頭が真っ白で。」
「は?
何それ? ひどすぎる。ありえないんですけど。ゲストも来てくれてるのに。」
「ちひろ、私、悪いことしたのかな。彼に嫌われたのかな。」
「ひなは悪くないよ。私は味方だから。」
「ありがとう。ちひろがいてくれて、よかった。」
「ねえ、一体何があったの? 詳しく教えてくれない? 」
「式の三時間前に、離婚してくれってLINEが来たの。しかも離婚届はもう書いてあるから、私も書いてくれって。」
「何それ?
最低すぎる。理由は何だって言ってたの? 」
「合わないから早めに決断したほうがいいって。今まで何も言ってなかったのに。」
「そうなの? ……もしかして、他に好きな人ができたのかな。」
「え? 」
「あ、いや、推測なんだけど。他に本命の女性ができて、その人と結婚したいとか。……ただの推測よ。真に受けないで。」
「そうかもしれないね。私、何を信じたらいいのか分かんない。」
「とにかく、もう一度話し合ってみたら?
ひなはまだ健太さんのこと、好きなんでしょ? 」
「……うん。やっぱり好きだから、もう一度だけ話してみる。」
「そっか。頑張ってね。ひななら大丈夫だよ。」
「ありがとう。支えてくれて、本当に。」
三十分後、ひなはもう一度だけ健太に問いかけた。「もう一度だけ聞くけど、本当に離婚でいいの? 」
「しつこいなあ。もう決めたって。お前だって、俺と一緒にいても幸せじゃないだろ。」
「私はそんなこと思ったことなかったけど。」
「まあいいじゃん。離婚届、書いてくれよ。早くしないと面倒なことになるし。」
「面倒なこと? 」
「うちの親も離婚する時、財産分与で揉めたんだよ。結婚生活が長引くと、お互いの金が曖昧になるだろ。泥沼とか言うだろ。あれはドラマだけの話じゃないんだよ。俺は実際に見てきたさ。誰がいくらもらって、いくら払うとか。」
「確かに、あなたのご両親が相当揉めたとは聞いてたわね。」
「だろう?
俺、あれがトラウマなんだよ。弁護士を立てると金がかかるし、離婚裁判とかになったら最悪だろ。だから、早く別れたほうが傷が浅いんだよ。」
「それなら、なんでそもそも結婚なんて考えたのよ。離婚前提で付き合う人なんていないでしょう。」
「お前とはいい感じになれるかと思ったんだけど、なんかダメだなって思ってさ。」
「その“ダメだな”って、具体的なことも言わずに離婚したいって、わがままだと思わない? 」
「これはお前のためでもあるんだよ。」
「私のため? 」
「そうだよ。俺、優しいだろ。だから今のうちに離婚届を出そうぜ。」
「意味が分かんない。……でも、分かったわ。あなたの気持ちは変わらないし。私も、こんな身勝手な人とは一緒にいたくない。離婚届、書くわよ。」
「お、やっと分かってくれたか。さすが話が早い。」
その頃、ひなはちひろに LINE を送った。「ちひろ、話し合い、終わった。結局、離婚することになった。」
「え、マジで? 健太さん、最低じゃん。」
「なんかもう、疲れちゃった。」
「どういう話になったの?
」
「やっぱり気持ちは変わらないって。それどころか、離婚は私のためとか言い始めてさ。本当、信じられない。……ねえ、ちひろ、確か式場に来てるよね。ごめん、ちょっと話聞いてくれない? 」
「大丈夫。すぐ行くね。控え室に行ったらいい? 」
「ごめんね。無理させて。」
「無理してないよ。ひなのことが心配なんだから。……でも、私、あんまりアドバイスできないかも。」
「え、どうして? 」
「ほら、私、シングルマザーになるわけだし。相手がいないから。まだ生まれてないけど。でも、ひなのことは本当に心配だから。気にしないで。」
「気を使わせてごめんね。」
「いいってことよ。私も参考にさせてもらうし。」
「参考?
」
「もしかしたら、今の彼と結婚できるかもしれないからさ。もし浮気されたらって時の予習みたいなもの。だから、気にしないで。すぐそっちに行くからね。」
「ありがとう。本当に待ってる。」
三十分後、ちひろは健太の待つ喫茶店に現れた。健太は声を潜めて言った。「おい、ひなと会ってきたのか? 」
「うん。話聞いてほしいって呼び出されたら、親友として行かないわけにはいかないでしょ。」
「怪しまれなかったか? 」
「完全に落ち込んでてさ。全然気づいてないみたい。ちょろいよね。」
「まじか。それならいいけど。……約束、守ってくれてよかった。」
「当たり前でしょ。責任は取るって言ったよね。」
「にしても、俺たち天才かもな。演技力、すごいだろ。」
「ひな、私のこと完全に信じてるしね。あのバカ。」
「俺らの関係にも気づかなくて、ほんとあいつはバカだよな。」
「あとは離婚届を出すだけね。楽しみ。」
「俺もお前と堂々と一緒にいられるし。やっと俺たちの時代が来るな。」
「うん。待ってたよ、この日を。」
翌日、健太は離婚届を出してきた。「これで、お互い自由だな。」
「そうだね。」
「ところで、一つ確認したいんだけど。」
「何? 」
「離婚届の婚姻日、見た?
」
「婚姻日? 何それ? 」
「結婚した日よ。法的にね。」
「え? そんなの昨日だろ?
」
「式をあげる予定だったのは昨日。でも私たち、一年前に婚姻届を出してるよね。式はちゃんとしたいからって、入籍だけ先にしたの、忘れてない? 」
「え? 何それ? 俺、聞いてないけど。」
「一緒に出したのに、忘れるなんてひどいわ。……ああ、でもそういえば、あなたは“結婚式をあげて初めて夫婦だ”とか言ってたわね。書類一枚じゃ結婚した感じがしないって。それで忘れてたのかしら?
」
「それじゃあ、俺たち……」
「ええ、法的には一年間、完全な夫婦だったわけね。」
「ちょ、待って。」
「離婚するってなった時、結婚期間が長いと面倒だから、早く終わらせたかったんでしょ? でも残念。書類上はきちんと夫婦だったのよ。そして、私はそのことを覚えていたのに、あっさり離婚届にサインした。おかしいと思わなかった? 」
「は? 」
「あ、ごめんなさいね。私もあなたに嘘をついてたの。実は私も同じだったのよ。早く離婚したかった。だから、承諾したの。」
「は?
どういうこと? 離婚したかったの? 」
「ええ。でも、ただ離婚するだけじゃ嫌だったから、色々考えてたの。でも、まさに最高のタイミングであなたが離婚を言い出してくれて、助かったわ。」
「何がどうなってるんだよ。……お前、本当は最初から全部知ってたのか? 」
「当たり前じゃない。まさか式当日に離婚要求してくるなんて思わなかったけどね。……いやあ、あなた、内心ヒヤヒヤしてたでしょう。なんせ、私が浮気相手を招待してたから。」
「あ、な、何言って……」
「ああ、彼女に弱音を吐いてたのも全部演技だったから、本気にしないでね。“私、何が悪かったんだろう”“もう一度やり直したい”って泣いてみせたら、あなたに報告してたでしょ。」
「まさか、バレてるのか……」
「さあ、それもそのうち分かるわよ。……それじゃあ、私は浮気相手とお話ししてくるわ。でもそうね。あなたがいくつか情報をくれたら、もしかしたら慰謝料を減額してあげるかもしれないわよ。」
「本当か?
」
「話す気になった? 」
「話す。全部話すから。……あいつが妊娠したって言って、結婚しないと下ろすって言われたんだ。」
「へえ。そうなの。」
「他には? 」
「他って? 」
「浮気はどこから始めて、どこで会ってたの?
」
「三か月前から週に二回くらい。駅前のホテルとか、あいつの家とか。」
「なるほどね。今の発言、全部録音したから、弁護士さんに渡しておくわ。これで“浮気してませんでした”なんて言わせないわよ。」
「くそ。お前、騙したのか? 」
「騙したのはあなたの方でしょ。」
一時間後、ひなはちひろと会っていた。「ちひろ、ありがとう。色々相談に乗ってくれて。」
「どういたしまして。元気出た? 」
「うん。おかげですっきりしたよ。」
「よかった。」
「ところで、一つ聞きたいことがあるんだけど。」
「何? 」
「親友の私を裏切って、私の夫と浮気してた理由。教えてくれない?
」
「は? 何言ってるの? 」
「とぼけなくていいよ。探偵さんに調べてもらったの。あなたと健太が写ってる写真、ホテルに入るところ、全部証拠として押さえてあるから。」
「そ、それは誤解よ。なんかの間違い。私が浮気だなんて、嫌だな。」
「五回。三か月前から週二回、駅前のホテルに入ってたのが五回。結婚式の準備を手伝ってくれてた時も会ってたよね。用事があるって断った日も、一緒にいたでしょ。」
「な、なんで……」
「全部知ってたわ。私が弱音を吐いてたのも、全部演技だったの。泳がせてただけ。」
「ひなは悪くないよ。私が味方だから、って言ってくれたよね。親友でしょ、って。でも裏では、私の夫と会ってたわけだ。私が“もう一度やり直したい”って言った時、どう思った? 内心で笑ってたんでしょ。“気づいてないなんて、バカだな”って。」
「違う。そんなつもりじゃ……」
「健太に報告してたよね。さっき、LINE全部見せてもらったよ。“完全に落ち込んでてさ。全然気づいてないみたい。ちょろいよね”って。よく言えるわね。」
「やめて。お願い。……さすがにそこまで性格が悪かったとは知らなかったわ。」
「私ね、不思議だったの。健太はそこまでバカじゃない。少なくとも、結婚式当日に離婚なんて馬鹿げたことをするのが、不思議だったの。だから理由を聞いたのよ。……ひどいわね。子供を盾にするなんて。」
「仕方ないじゃない。赤ちゃんには父親が必要だもの。」
「けど、あなたは本当は妊娠してないでしょう。先週、SNSでお寿司を食べてるのを見たわ。生ものは食べちゃダメなのよね。」
「違う。本当に妊娠してるの。生ものだって、少しは大丈夫なんだから。」
「そう。でも、決定的な証拠もあるわよ。……あなた、今日、素敵なドレスよね。妊婦さんは、そんなにお腹を締め付けるようなデザインのドレスなんて着ないわよ。」
「あ……」
「そんな分かりやすい嘘をついても、どうせそのうち“お腹の子は天国に行きました”って言い逃れするつもりだったんでしょ。そうじゃないなら、母子手帳を見せてほしいんだけど。」
「それは個人情報で、見せられない。」
「だって嘘だもんね。」
「は……私のこと、本当に親友だと思ってた。」
「私もよ。結婚式の準備を手伝ってくれて、嬉しかった。でも、全部嘘だったんだね。」
「違う。そんなつもりじゃなかった。私、本当に親友だと思ってた。」
「じゃあ、どんなつもり?
私の幸せを壊して、何が楽しかったの? 」
「だって、ひなはいつも私より幸せそうで。高校の時も、私が好きだった人をひなに取られたし。」
「あれは自然に付き合っただけでしょ。私、あなたがその人を好きだったことなんて知らなかった。」
「でも、でもさ。今回ぐらい、私がひなから奪ったっていいでしょ。悪いけど、健太は私を選んだんだよ。」
「選んだ? 健太はあなたに脅されたから、離婚しようとしただけよ。それって、選んだって言うの? その切り札がなかったら、私と結婚してたのよ。……最低だね。もういいわ。慰謝料を請求するから、覚悟しといて。式場費用の半分と、精神的苦痛に対する慰謝料、合わせて五百万円くらいかしら。」
「そんな金額、払えるわけないじゃない。」
翌日、ちひろのLINEに健太から怒号が飛んできた。「お前のせいで全部終わった。式場費用三百万、慰謝料五百万。お前との遊びに使った金も返せって言われてる。親からも勘当寸前だ。」
「私のせい?
離婚したいって言い出したのは、あなたでしょ。私は妊娠してるって言っただけじゃない。」
「妊娠も嘘だったくせに。お前が変なこと吹き込むから……」
「私は“結婚しないと下ろす”なんて言ってないわよ。あんたが勝手に焦っただけじゃない。」
「お前が妊娠してるって言ったから……」
「それで私のせいにするの? 勝手に信じたほうが悪い。」
「ふざけんな。お前だって慰謝料五百万請求されてるんだろ。」
「だから何? あなたと一緒にしないで。もう連絡してこないでくれる? ……ああ、高給取りで将来有望だから奪ったのに、こんなことになるなんて。最悪。」
数か月後、健太はひなに泣きついた。「頼む。慰謝料減額してくれないか。式場費用と合わせて八百万。もう払えない。」
「弁護士さんと相談してください。私に言われても困るわ。」
「会社でも噂になって、左遷された。給料天引きになってるんだから、バレるだろうな。」
「親からも顔も見たくないって言われて。……結婚式に親も来てたんだから、当然でしょ。」
「ちひろも俺を責めるだけで、助けてくれない。……俺が悪かった。本当にすまなかった。でもな、俺だって騙されてたんだよ。ちひろがあんなに積極的にアプローチしてこなければ……あいつが俺を誘惑してきたんだ。」
「最低ね。人のせいにするなんて。」
「違うんだ。最初は断ってたんだよ。でも、ちひろが“二人だけの秘密”って言って、何度も……俺も気が弱くて。」
「あなたが浮気を選んだのよ。ちひろさんがどうとか、関係ない。」
「お前だって分かるだろ。ちひろがどれだけ計算高い女か。結婚後の生活のグレードアップも、全部ちひろの希望だったんだぞ。」
「私には関係ありません。……俺が悪かったのは認める。でも、ちひろにも責任があるはずだ。だから、少しでも減額を……」
「ふざけないで。全部、あなたの責任よ。……頼む。せめて分割の期間を伸ばすとか。」
「弁護士さんと話してください。慰謝料はきちんと払ってね。」
翌日、ちひろもひなにすがった。「お願い。許して。友達もみんな私を避けるの。職場にもばれて、首になったの。」
「ああ、あなたの同僚も式に来てくれてたしね。」
「本当に、二人とも今後のことを考えないで動いちゃって……自業自得すぎよ。でも、あなたが選んだ道でしょ。後悔しないでね。」
「お願い。私を裏切った人に、言われたくないわ。」
「でも、私だって被害者なの。だって、健太が“ひなとはうまくいってない。もう気持ちは覚めてる”って言ったから。私も騙されてたのよ。」
「それで、浮気していいことになるの?
」
「違うの。あいつが積極的で、断りきれなくて……」
「その言い訳、もう聞いてるわ。二人とも同じこと言うのね。自分で選んだんでしょ? 」
「SNSでも特定されて、どこにも行けない。親からも勘当されて、家にも帰れない。」
「そこまで追い詰められてるなら、あいつに助けてもらえば? 」
「あいつも、もう私を見捨てたの。……ひな、頼りなの。お願い。少しだけでいいから。」
「私はもう関係ないよ。私も反省してるの。せめて連絡だけでも……」
「するわけないでしょ。だって、優しい親友の演技をしていたのは、私だもの。……どう? あなたより演技、うまかったでしょ?
あなたのこと大嫌いだったけど、あなたは全然気づかなかったし。そんな私を騙せてると見下してたけど、騙されていたのはあなただったのよ。まあ、今更気づいても、もう遅いけどね。」
その後、二人には高額な慰謝料請求が来て、それぞれ親や職場で助けてくれる人は誰もいなくなった。孤独な状況で仕事に集中できない健太は、職場で大きなミスを連発し、給料天引きで手元にお金はほぼ残らず、極貧生活を強いられている。ちひろは借金をして慰謝料を返したが、返済のため夜の仕事で働いているという。しかし、うまくいかず、苦しい生活の中で誰にも相手にされず、孤独だそうだ。私を見下して馬鹿にしていた二人には、お似合いの末路だろう。
一方、私はと言うと、これまで通り生活している。あの騒動の後、本当にたくさんの友人が私を心配してくれた。「大丈夫? 何かあったら、いつでも連絡してね」って。中には泣きながら「辛かったよね」って抱きしめてくれた子もいて、その時初めて気づいた。本当の友情って、こういうものなんだって。ちひろとの関係は、最初から間違っていたんだと。今は毎日が穏やかで、特別なことがあるわけではない。でも、信頼できる人たちに囲まれて、誰にも裏切られない日々。それがどれだけ幸せなことか。あの結婚式があったからこそ、今の私がある。本当の友達を見つけられて、本当によかった。そう思いながら、前に進んでいこうと思う。


