「もう限界です。離婚します」
そう言った瞬間、夫は馬鹿にしたように笑った。「あ? 離婚? お前、本気で言ってるのか?」
「本気です。あなたはまた約束を破った。今日、同僚を連れてくるって勝手に決めて、私にご飯を用意しろって言ったけど、私は残業だって言ったはずです」
「知らねえよ。俺はちゃんと約束しただろ」
「一方的に決めて、宣言しただけです。約束は相互同意で成立するんです。あなたのは押し付けです」
夫はまったく理解しようとしなかった。「約束破るやつは人として最低だな。悪いのはお前だ」
それだけじゃない。夫は自分の母親のローンのために、毎月20万円を私に払わせていた。「お前が払ってるのは当たり前だろ。俺の母さんだぞ」
「それはあなたが勝手に決めたことで、私が納得したわけじゃない」
私は言った。「今度こそ本気です。約束を守ってください。守れなかったら、次こそ離婚します」
夫は適当にうなずいた。「はいはい、分かったよ」
それから1週間後。義母が突然、私の家に現れた。彼女は開口一番、こう言った。「あなた、離婚届にサインさせたんですって? 嫁の自覚があるの?」
「それは、夫が約束を守らなかったからです」
「約束? あなたが夫に離婚を迫るなんて、私の時代じゃ考えられないわ。それに、40過ぎても子供を産まないで仕事ばかり。嫁失格よ」
義母は続けた。「うちのローンのことで不満があるんでしょう?」
「それは、義母さんが急に決めたことで、私が納得できる金額じゃありません」
義母は冷たく笑った。「あら、そう。でもあなた、それで全部払ってたの?」
その時、夫が口を挟んだ。「割分担だよ。俺は生活費担当。あいつは稼ぎがいいからな」
義母は驚いた顔をした。「ちょっと待って、あなた、前に言ってたわよね。200万の貯金があるって」
「……それは、その」
「あの200万、どうしたの?」
夫は黙り込んだ。そして、義母が思い出したように言った。「あなた、そのお金で何をしてたの?」
私はその場で、全ての真実を知ることになった。夫が私に内緒で、その200万を何に使っていたのかを。



